そもそも浮腫みってなに?
浮腫みは、体内に余分な水分(血しょう成分)が溜まった状態です。静脈が詰まったり、リンパ液の流れが滞ったりして、細胞と細胞の間に水分が溜まっていくとむくみます。
浮腫みは、基本的に体のどこにも起こる可能性がありますが、浮腫みを感じやすい場所としては顔、手、足の指が挙げられます。
産後に足や顔の浮腫みがひどい!原因は?いつまで続くの?
産後に顔や足などが浮腫む原因は、主に出産による体と生活習慣の変化にあります。具体的には以下の通りで、浮腫む状況をさまざまな要因が作り出しているのが分かります。
出産により急激な血液減少が起こる
妊娠中は妊娠前に比べて、血液量が3~5割ほど増えています。しかし、産後は子宮への血液供給量が減少し、体は妊娠前の血液量に戻ろうとしていきます。その過程で浮腫みが現れやすくなります。
この浮腫みは出産による一時的なものなので、産褥期(産後6~8週)を過ぎれば自然と治まっていきます。
座って授乳する時間が増える
分娩後、横になって安静に過ごす時期が終わり、座って授乳したりする時間が長くなると、水分が体の下の方へ移動することで、足が浮腫みやすくなります。
特に新生児期から生後2~3ヶ月頃までは頻回授乳で1日10回以上授乳することもあります。この時期は特に浮腫みが出やすくなるので、対処が必要になります。
自律神経が乱れる
産後はホルモンバランスの変化や慣れない育児のストレスで、自律神経が乱れがちです。すると、血液の流れが悪くなり、結果的に浮腫みが起こりやすくなります。
運動不足や寝不足で基礎代謝が悪い
産後は体力がまだ回復しきっておらず、家事で体を動かすこともままなりません。当然、しばらくは運動をすることもできず、さらに赤ちゃんのお世話が忙しくて、寝不足になることも日常茶飯事。
運動不足と寝不足は基礎代謝を下げ、血流を悪化させ、浮腫みを引き起こします。
産後の浮腫みはどうやって解消すればいいの?
産後すぐのママは、出産からの体力回復がまだ完全ではありません。無理のない範囲で、以下の浮腫み対処法を実践してみてください。
適度に運動をする
適度な運動をすると、リンパの流れも良くなり、水分の排出を助けてくれます。産後6~8週間の産褥期(さんじょくき)の運動としては、産褥体操がおすすめです。浮腫みを解消してくれるだけでなく、産後の体の回復を促してくれる効果もあります。
食事の減塩を心がける
食事面では、減塩を心がけましょう。塩分摂取が過剰になった場合、体内の塩分濃度を下げようと、水分を溜め込む働きが強くなり、浮腫みがより一層ひどくなってしまいます。
減塩味噌や減塩梅干しを利用したり、しょうゆやドレッシングを料理にかけるのではなく、つけて食べるようにしたりと、ちょっとした心がけで減塩はできます。
カリウムを摂取する
カリウムには、体内に含まれる塩分を尿や汗として排出する作用があり、浮腫み解消に効果的です。カリウムを多く含む食品としては、納豆やほうれん草、パセリ、アボカドなどの野菜や、こんぶ、ひじき、わかめなどの海藻類が挙げられます。
足を上げて横になる
足を高くして横になると、血流がよくなり、浮腫みを和らげてくれます。授乳クッションや丸めたタオルを足の下に置き、足を床から10~15cm上げた状態にしましょう。
足を高くしすぎると、足の付け根のところにある静脈が圧迫されてしまうので、適度に高くすることを心がけてください。
足湯をする
血行をよくする足湯は、浮腫み解消に有効です。特に、産後1ヶ月ほどは入浴を避けた方がいいので、足湯はおすすめです。リラックス効果もありますよ。
足湯は家でも簡単にできます。浴槽や洗面器に、足首まで浸かる量のお湯を入れるだけです。足湯のあとに、足に冷水をかけて血管を収縮させる温冷浴も、血流を良くする効果が期待できます。
マッサージをする
マッサージを行うことでリンパの流れを良くし、体内に溜まった老廃物の排出を促すと、浮腫み解消につながりますよ。足湯や入浴をし、血流を良くしてからマッサージを行うと、より効果的です。
浮腫み用の着圧ソックスを使う
浮腫みを解消する目的で作られたソックスは、履いているだけでいいので、家事と育児で忙しいママの心強い味方。浮腫み用ソックスとして人気なのが、足首からふくらはぎにかけて圧力をかける着圧ソックスです。
注意が必要な産後の浮腫みは?
産後の体の変化による浮腫みは、体が回復していくにつれて自然と治まっていくので、それほど心配はいりません。
ただし、妊娠中に妊娠高血圧症候群と診断されていて、産後に浮腫みが出たときは、注意が必要です。重症の場合、産後も高血圧や尿蛋白が現れることもあります。
産後の浮腫みを解消するために、毎日少しの時間を作ろう
地道なセルフケアで、浮腫み解消を促すことは可能です。産後は育児で忙しく、自分の体は二の次にしてしまうママも多くいますが、赤ちゃんが寝ているときや、旦那さんや家族にお世話をしてもらっているときなど、手が空いた時間に少しずつ試してみてください。
産後の生理現象なので、対策をしても治まらない人もいますが、できるだけ赤ちゃんとの生活を気持ちよく過ごせるように、イライラせず、前向きに過ごせるといいですね。